2007年11月15日

最初の食べ物は母乳

 小学生や中学生の保護者は、すでに母乳を与える時期を過ぎている方がほとんどでしょうが、あえて母乳の話をするのは、子どもが最初に口にする食べ物であり、しっかり認識しておくことが食育の第一歩だと考えるからですexclamation×2

 さて、皆さんは自分の子どもにいつくらいまで母乳をあげていたでしょうか。
厚生労働省は、2002年から母子手帳の『1歳で断乳』という項目をはずし、1歳半を過ぎても母乳をたっぷりあげましょうと言っていますひらめき
無理に乳離れをすることはないという見解です。
母乳は栄養成分的に赤ちゃんの体に良いというだけでなく、心と心をつなぐものとして大事な役割を果たしていますぴかぴか(新しい)
乳房は温かい皮膚。
皮膚と皮膚がくっつくと、母子両方の脳にも暖かいものが伝わりますわーい(嬉しい顔)
生後10ヶ月から離乳食を食べ始めるからもう断乳、というように機械的に考える人も少なくありませんが、本当はその後も母乳をあげて良いのです。
WHO(世界保健機関)では2歳かそれ以上までの授乳を推奨していますひらめき

 ユニセフとWHOは『母乳育児推進の為の10ヶ条』を提言し、これを推奨する病院を『ベビーフレンドリーホスピタル』といい、『ベビーフレンドリーホスピタル憲章』というものを制定しています。
日本ではまだ25ヶ所ほどですが、徐々に増えてきていますグッド(上向き矢印)

 赤ちゃんは乳首を吸い母乳を飲むことにより、正しい嚥下(飲み込む)サイクルができます。
母乳が出ないからとか、赤ちゃんが吸えないからといって母乳を与えることをあきらめて、早期に人工栄養に切り換えたりすると、摂食に関わる筋肉の使い方がうまく発育せず、いわゆる発達段階における正しい嚥下(飲み込み)機能や咀嚼筋の筋力を身につけることが出来ず、そのことが例えば悪い歯並びにもつながります。

 ユニセフとWHOはできれば2年、最低でも6ヶ月間は完全母乳をあげましょうと勧告をしていますexclamation
歯は、平均すると生後6ヶ月で生えてきて、このことが、胃腸に母乳以外のものを噛んで吸収する準備ができたというサイン。
言い換えれば、それまでは吸収できないということで、赤ちゃんの胃腸に最も優しい母乳をあげようというわけです。
赤ちゃんの胃腸は、まだ母乳以外を消化吸収して成分調節する機能ができていないのですから、本来は生後6ヶ月以前の歯が生えていないころから、果汁、重湯、味噌汁など、母乳以外のものを与える必要はないのです。

 ところで母乳と粉ミルクの違いはご存じでしょうか。
母親の食べたものが血液となり、その一部が『母乳』になります。
粉ミルクの場合は『牛のお乳』で、もとをただせば牛の血液ということになります。
極寒の北極の海で生きるアザラシは、生き抜くためにとても脂肪分の多いお乳を与えます。
もし『アザラシお乳』が人間の赤ちゃんの粉ミルクだったらどうでしょう。
明らかに脂肪過多で大変なことになります。
母乳はその生き物の特性に合うようにうまくできていますぴかぴか(新しい)
アザラシの赤ちゃんにはアザラシの母乳がいちばん、牛の赤ちゃんには牛の母乳がいちばん、そして人の赤ちゃんには、やっぱりひとの母乳がいちばんなのですわーい(嬉しい顔)

 人の母乳には、粉ミルクにはないアルファ・リノレン酸(体内に吸収されると良質な脂肪酸に代わり、余分な油分を分解し、アレルギー抑制の働きもあると言われている)があります。
また0-157に罹患した母親の血液中の抗体は3〜4ヶ月で消失していくが、母乳中の抗体は7ヶ月まで残存しているという報告があります。
これは赤ちゃんに対して絶対守ってみせるという神秘的なメッセージですキスマーク
まさに、神秘で、乳房中では、計り知れないメカニズムが働いています。
未熟児には、未熟児に一番適した母乳が分泌されます。
つまり自分の子にぴったりの母乳を分泌させられるのは、その子どもの母親しかいないのです。
しかし、だからといって、粉ミルクで育った子どもが不幸だと言っているわけではありません。
中にはどうしても母乳がでない、母乳を与えることができないお母さんもおられます。
その場合は次のベストの選択として粉ミルクを飲ませるということで良いのですわーい(嬉しい顔)

 母乳育児支援の世界的組織『国際認定ラクテーションコンサルタント協会』などによると、本当に母乳が出ない人は2万人に1人という説があり、日本では、母乳と粉ミルクの比率はずいぶんとかけ離れているようです。
粉ミルクを選択している人の中には、病院のシステムに原因があり、母子別室となっていたため母乳をあげられず、退院後も粉ミルクになってしまった人もいるでしょうが、ただ安易に『粉ミルクの方が誰でも授乳でき楽だから』とか『科学的に作られた粉ミルクの方が栄養バランスがいいから』と誤った理由で母乳をあげていない場合は問題ですふらふら

 ノルウェー、スウェーデン、デンマークの北欧3カ国では、粉ミルクのポスターは1枚もなく、国民は、粉ミルクがどうしても母乳が出ない時の『薬』として認識しています。
多くの先進国では、その赤ちゃんの細胞分裂や、胃腸のできなど、赤ちゃんに飲ませるのは全てを担った母体から生まれたオーダーメードフードである母乳に勝るものはないという考え方が根付いていますexclamation×2

 ところで、母乳の安全性を考えるとき、環境問題は避けては通れません。
例えば、ダイオキシンは水には溶けにくいのですが、脂肪には溶けやすいので、体内で主に脂肪に蓄積し、母乳中のダイオキシンはかなり高濃度となってしまいますがく〜(落胆した顔)
ダイオキシン汚染が母乳中のダイオキシン濃度にどのような影響を与えているか知る必要があります。
現在の母乳中のダイオキシン量は、20年前の半分の量で、特に心配することはないといわれています。
ただ、乳児が母乳から摂取するダイオキシン類の量は、成人の耐容1日摂取量の6〜7倍といわれ、また、胎児への影響について、いまだ十分に解明されていないことも知っておく必要があります。
先日、新聞に母乳中に新種の汚染物質、PCBに似た臭素系化合物が発見されたと掲載されました。
母乳は乳児(すべての生き物を含む)の最良の食です。
だからこそ今、私たちみんなが、環境問題も含め、食について真剣に考える必要があり、また十分に研究する必要があると言えますexclamation

参考文献
東邦大学医学部教授 多田 裕
『母乳の安全性について』

聖マリア病院母子総合医療センター 橋本 武夫
『ダイオキシンと母乳』

大葉 ナナコ
『いのちはどこからきたの?』

鹿児島県歯科医師会学校歯科部会発行
県学歯部会だより 第7号より
posted by 毛利歯科ふれあい新聞より at 13:17| 食育関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする