2008年04月15日

「五感」について

 今回は五感教育研究所の荒木行彦先生と京都府立大学人間環境学部助教授の大谷貴美子先生が述べられた五感(視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚)に関する文書を紹介します。

 現代社会は、コンピュータの他いろいろな道具で知りたい情報を誰でも簡単に引き出せますし、コミュニケーションの方法も変わってきています。
例えば、インターネットは自宅に居ながらにして世界中の人たちとメールの交換が出来ますし、検索サイトに知りたい情報を入力すれば、即座にコンピュータの画面に表示されます。
ところが、このような情報は人間の五感のうちの視覚だけが優先され、他の感覚をあまり使わずにすむことになりますふらふら

 普通私たちの脳への情報は80%以上が視覚から送られていますが、現在はそのパーセント率も高くなって来ています。
視覚の次に多くの情報を送っているのが聴覚です。
残念ながら、味覚や触覚、嗅覚の脳への情報は減少してきており、これらの感覚の衰えが現在の若い人たちに急増している現状を多くの人たちは気づいていませんあせあせ(飛び散る汗)
このままだと若い人たちが中年以降になってから大変な思いをするかもしれませんもうやだ〜(悲しい顔)
特に注目されるのは「味覚」の衰えです。
その要因として、現在の食事の内容や生活環境など様々なことが考えられます。

 今日、食材の40%が食べ残しや売れ残りなどで捨てられている一方で、朝食を摂らない、好きな時に好きな物だけ食べて過ごす、加工食品やインスタント類などが中心で食事をする子どもが多いという現実がありますひらめき
言葉を言い換えれば、食べることが楽しいということを知らない子ども、五感で味わうことを知らない子ども達が増えており、その原因に次のようなことがあると考えられます。

・色のない食卓が語るように、五感で味わうことができない食卓
・食べるための手順が踏まれていない食事
・温度感覚のない食事
・「食べさせる食」から「食べてもらっている食」
・「養い育てる食」から「食べてくれる食」
・「食べさせてやりたい食」から「よりましな食(私が困るから)」

 一方諸外国において、香港は世界中から良い食材、優れた食材を集め、アジアの中でも「味覚の達人者」が最も多い地域であります。
彼らの凄さは、良い食材を見抜く能力(視覚)と共に、味覚の達人であり、美味しい食材に対する探究心は並大抵ではありませんexclamation
だから、香港の人はアジアの中でも「美食家」「食い道楽」という言葉が似合い、食事にこだわる人たちが沢山います。
また香港の人は、日本人のように早食いで無言で食べる人たちは少なく、朝から良く食べて良く働き、夕食になるとよく笑い、会話し、家族団欒で楽しみながら2時間もかけて美味しく食事をしていますぴかぴか(新しい)
このように美味しく食事をすることは味覚も鍛錬され、同様に嗅覚も敏感になると考えられます。

 またアメリカにおいては、小学校の授業で五感に関する内容のものがあります目
ヨーロッパ、特にイタリアでは、「スローフードの勧め」と銘打って、一流レストランのシェフが学校給食を造り、食事の楽しさや大切さを教えてくれる味覚の授業があります。
残念ながら日本では、このような授業に取り組んでいる学校は少ないのが現状ですバッド(下向き矢印)

 ところで人間の脳の記憶には大きく分けて二種類あります。
その一つは、「短期記憶」といって、電話番号とか住所を視覚で覚える一瞬の記憶のようなもので、すぐに忘れやすい特徴があります。
もう一つは、「手続き記憶」といって、繰り返して記憶するとか、感動した事などが思い出として残る記憶のようなものをいいます。
例えば、子どもの頃から辞書の代わりに電子辞書やコンピュータなどで得た視覚優先の知識は短期記憶型なので、学力として残ることなく、テストが終われば忘れてしまいがちですがく〜(落胆した顔)
一方、多くの中年以上の人たちは、漢字を覚えるのに辞書を広げ、紙に何度も書きながら覚えました。
文字を手で書くということは、触覚と視覚を動員していますので手続き記憶として長い期間忘れにくいものです。

 これらのことから、五感を総動員して学習する事は、人間の脳が活性化し、統合され「実体験」として身につき記憶に残るものであると言えますexclamation×2

まとめ
 好きな時間、好きな量、好きな物を食べられるという食の贅沢さが食の乏しさに繋がり、味覚だけでなく、嗅覚なども刺激されず、現代人の「五感」は低下してきていますふらふら
この「五感」の低下が脳の活性不足を招き、すぐに切れやすい、興奮した脳を抑制できず理性の働きをも低下した子どもを増やしていますどんっ(衝撃)
「五感」に優れた人間を育むために、獲得学習の時期、言い換えると「実体験」が出来る時期、「手続き記憶」が出来る時期である子どもの頃から五感に良い刺激を送る必要があります。
今一度、ペンフィールドの脳地図(運動野と感覚野)を描きながら、「五感」に目を向けた生活習慣を考えてみたらと思いますわーい(嬉しい顔)わーい(嬉しい顔)

鹿児島県歯科医師会学校歯科部会 発行
県学歯部会だより 第12号 より
posted by 毛利歯科ふれあい新聞より at 17:57| 歯科医師会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする